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屋根形状とそれぞれの特徴

2018.07.18

住宅を雨や衝撃から守る屋根。古代から世界各地の住居を見回しても屋根がない住居はなく、人が住むことの根源的なものです。
現代では土地の気候、建築の法律、用途に適合する為に様々な種類の屋根の形状が存在します。

住宅に長く住み続けられるには日々のメンテナンスが最も大切ですが屋根は目線よりはるかに高いところにある為、何かあった時に気付きづらいです。

そのような症状の出方も屋根の形状よって異なります。
今回は各屋根の代表的な形状の良いところ、悪いところをご紹介します。

1.切り妻屋根

日本では最も一般的な屋根で、三角屋根と呼ばれる屋根です。
屋根は2つの面で構成されており頂点は棟と呼ばれます。

屋根の勾配は緩いほど空間を大きく取れますが、勾配が緩いと排水に難があり防水工事や納まりの難易度が上がります。
一般的な勾配の角度は5寸屋根、5寸とは水平線を10とした時、垂直に5とした勾配で、角度で表すと約26°となります。

5寸屋根は最も一般的な勾配だけに材料の流通量も多く、性能も安定しております。
4寸、3寸と勾配が緩くなると外観からドシッとした印象を受け邸宅感が増します。

逆に6寸と勾配がきつくなると山小屋感やドイツなどの木造住宅のような印象を受けます。

メリット

シンプルな屋根形状なので工事も他の屋根に比べて容易。
その分防水工事も特段難しい工程がない為、失敗しづらく性能が安定します。

容易な工事である為、工賃も経済的。
ただし3寸以下の緩やかな勾配や7寸以上のきつめの勾配になると工事が難しくなるので、性能や工賃も変わってきます。

デザインもシンプルなので間違いなく、失敗がしにくいです。

デメリット

シンプルで合理的な形状な為、これといったデメリットはないですがあえて言うなら平凡な形状でしょうか。
ありふれている屋根なのでこだわりが強い方や、人と違うものにしたいと言う方にはマッチしないかもしれません。

建築基準法や条例で規定されている高さ制限に対して、切り妻のトップが邪魔になる時があります。
シンプルに切り妻で綺麗に屋根を計画したいのに、法規制によって諦められなければならないのは切り妻屋根のデメリットと言えます。

2.片流れ屋根

近年多いのがこの片流れ屋根。屋根面が1面だけで構成されており切妻屋根の半分側だけをイメージです。

古い建築にはあまり見られず、近年建築件数が多い、その理由はデザインに対する価値観と法規制の厳格化から生じた需要にあります。

メリット

片流れ屋根のメリットの1つは見た目がモダンでスマートな点です。
住宅の外観を印象づける屋根は重要。シンプルで無駄がないデザインから若い世代の方から好まれる傾向にあります。

Apple製品などを見ればそれがわかるように、近代のデザインの考えはモダニズムと言って過度な装飾を排除する点にあります。
片流れ屋根のシンプルな佇まいはまさにモダニズム的。

他には条例などで1種高度や2種高度などの高度斜線が発生する東京都などでは厳しい法規制を回避しやすいため、必然的に片流れ屋根になる傾向があります。

また近年、電力消費を抑えられるため太陽光発電の搭載が多いですが片流れ屋根は形状から多くの太陽光パネルを搭載しやすい面も利点です。

デメリット

デメリットは軒がないため、軒があることによって防げるはずの雨水による劣化です。
軒は直射日光などによる室温上昇を防ぐだけでなく、屋根と建物の接合部の雨水侵入を防ぐ役目もありますが、それが無いため接合部は雨水侵入に弱い傾向があります。

他にも軒が無いためバルコニーにでたら雨ざらしなど、機能性で避けられないデメリットはあります。
また外壁の施工面積が多くなりがちなので総合的な費用が高く出る傾向にあります。

3.招き屋根

招き屋根は切り妻屋根が互い違いの高さで接続している形状です。
古くからある屋根ですがモダンな外観にも寄せやすいため、人気も高いです。

綺麗に計画するためには設計者の技量と多少間取りにしわ寄せが必要である上級者向けの屋根形状とも言えます。

メリット

片流れ屋根が交差している形状から二つの建物ボリュームの組み合わせによりモダンなデザインを作りやすく若い方に人気、材料など工夫し袖瓦のような伝統的な納まりで計画することで広い世代にも受け入れられるデザインも可能な為、汎用性が高いです。

その他に収納として屋根裏部屋を作る時、屋根裏に比較的容易に大きな空間を作りやすいので、都内の狭小地で収納スペースを増やしたい時などに有効です。

デメリット

屋根の計画上、片方の屋根が壁にぶつかる箇所が生じますがそこが防水上の弱点になりやすいです。
雨がどうしても溜まりやすいため、長い間雨水が滞ると雨水侵入の危険性が生じます。

4.寄棟屋根(よせむねやね)

切り妻屋根の次に多い寄棟屋根です。
屋根面が4面あり、軒の高さが全て同じに統一されています。

社寺建築でもよく見られる屋根なので元から日本でも多かった形。
建築界の19世紀の世界三大巨匠の一人であるフランク・ロイド・ライトが寄棟屋根を美しさを見出し好んで多用した為、ハウスメーカーや工務店がこぞって住宅に取り入れるようになりました。

屋根の4辺が同じ長さのものを方形屋根(ほうぎょうやね)と呼びます。

メリット

切り妻屋根に次いで数が多いので製品や工賃が安定しております。
また切妻屋根に比べて外壁の量を減らせるので差し引きで若干価格を抑えられことがあります。

また建築の法律において高さを制限する法律がありますが、切り妻屋根よりも寄棟屋根の方が制限をかわしやすい形状のため有利です。
見た目にも良く、フランク・ロイド・ライトが愛したように下から見た時の水平ラインが美しく邸宅にふさわしいです。

デメリット

寄棟屋根には頂点の棟以外に各角から棟に登る隅棟があります。
また建物の形が長方形でない場合には谷棟が出てきます。

これらの隅棟、谷棟は水が溜まりやすく防水処理の難易度が上がります。
適切な工事が施されても日々の劣化や大雨により雨水が侵入するきっかけとなり、防水性は切妻に比べると高くないです。

近年多くの住宅に搭載されている太陽光発電を採用する場合、少し不利になります。
なぜなら太陽光発電は基本、四角く、斜めの隅棟にマッチしなく無駄が出るからです。
同じ建物でもその他の屋根形状よりも太陽光パネルの搭載量が少なくなりがちです。

5.陸屋根

陸屋根(ろくやね、りくやね)は別名フラット屋根とも言い、平らな屋根を示します。
外観からは勾配がない為、他の屋根と防水の方法が異なります。

通常はシート防水と言う方法で防水を行います。
現在ではシート防水も開発され木造でも陸屋根が可能。木造でもペントハウスなどを売りにしているハウスメーカーが増えてきました。

メリット

屋根がフラットな為、箱型の外観になりモダンなデザインになります。
片流れ屋根と同様に若い方中心に好まれる形状。

それ以外に軒が出ない為、高さ制限などに対応できることが良い点です。
建物が複雑な場合、屋根をかけるのが難しいことがあります。

例えば変形敷地ですと建物も変形し屋根のデザインが難しい、そんな時は陸屋根だと計画しやすくスマートな外観になります。

デメリット

デメリットはシート防水が進歩したと言えどまだまだ他の屋根に比べて防水性能が不十分な点。
陸屋根は屋根形状で排水に適していない為、シートの防水性能に頼る部分が大きいです。

引き渡し後の雨漏り件数を見ると陸屋根は圧倒的に事例が多いです。
雪や大雨の重みなどで水が溜まるとシート防水が切れてしまい、雨水が建物に侵入してしまいます。

その他

上記でご紹介したものが代表的なものですが、デザイン上様々な形状が存在します。
上記の基本的な屋根を組みわせた屋根や1980年代に流行した丸みのついたアール屋根、陸屋根と見せかけた勾配のついた屋根など。

屋根は機能も大事ですが外観上でもとても大切なため、多少機能を切り捨ててもデザインが優先されることもあります。

まとめ

屋根の形状の一覧、いかがでしたでしょうか。
建物の守りの要である屋根だけに実にたくさんの種類と形状があります。

それぞれ特徴がありますので建築を計画の際は、デザインも大事ですが機能性、メンテナンス性も含めて考えられると満足した住宅が実現できます。

近年は厳しくなる法規制や太陽光発電のパネルの施工面積など計画に必要な要素が増えています、常にどれが正解というのはなく、要望に上手く適合する屋根形状が正解と言えます。

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