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モルタル塗りは防火性能が高い!特徴と工法

2019.11.22

昭和の戦後に広まり、近年ではあまり見かけなくなったモルタル塗りの壁。
意外にも安全性が高く、デザイン性の高い設計にも対応できる工法であることをご存知でしょうか?

とくに安全面では防火性能が高く、不燃材料であるため壁に充分な厚みを持っていれば火災にも耐えることができます。
しかしその一方でひび割れが発生しやすいなどのデメリットもあり施工は減少傾向に。

そこでこの記事では、モルタル塗りの防火性能の解説から、メリットやデメリットなどの特徴も詳しくまとめました。
外壁でお悩みや検討中の人もぜひ参考にしてください。

モルタル塗りとは

モルタル塗りは壁の工法のひとつで、1980年代まで日本の住宅で外壁として広く使われていました。現在でも地区30年以上の建物で見かけることがよくあります。
代表的な仕上げ方法は後で詳しく解説しますが、吹付タイルやリシン、スタッコといった塗装で仕上げるのが一般的です。
現在はサイディングやスレートなどの建築材の台頭もあり、モルタル壁の存在は減少傾向にあります。

コンクリートとの違い

出典:https://concreteshindan.blogspot.com/2019/08/blog-post_26.html

モルタルはセメント・砂・水で練り込んで作られる建築材料です。
コンクリートはまったく別の建築材料として捉えられがちですが、じつはベースとなる材料は同じものを使用しています。
コンクリートはそれに加えて石や砂利の割合を高くし、強度を上げたものです。

モルタルとは、セメント1に対して砂を3の割合で混ぜ、水を追加して練り込んだ建築材料を指します。
セメントは、石灰石や石膏を焼いて粉末にしたものです。
最近では「防水セメント」といって、防水性に優れたモルタルも存在します。

混同されやすいコンクリートは、モルタルの原料に加えて砕石や砂利が高い割合で混入され、強度設計されたものです。

モルタル壁とは、ラス(網の針金)等の上からモルタル(水・砂・セメントを混ぜたもの)を左官コテで塗り付けて、その後、塗装して仕上げるのが一般的なケースです。
モルタル外壁は、塗装仕上げなので、定期的なメンテナンスを行わないと、外壁の耐久性が著しく低下します。

また、スタッコ・土壁調仕上げ(ジョリパット)等は、仕上げ模様(テクスチャー)により、塗り替え時の塗料の使用量が大きく異なってきますので注意が必要です。

モルタル外壁は何層かによって構成されています。
もっとも内側に透湿防水シート、その上に「ラス下地板」という板が張られています。
最後に防水紙をかぶせ、これに「ラス」という金属製の網を張ります。
これによって垂直の壁でモルタルが密着しやすくなり必要な厚さを確保することができます。

モルタル外壁は仕上げの種類が豊富で、自由にデザインできるというメリットがあります。
サイディングがボードとボードの間にシーリングの目地があるのに対し、モルタル外壁は目地がないため美しく高級感のある仕上がりとなります。

モルタル塗りは防火性が高い

1950年以降にモルタル塗りの壁が広まった要因として挙げられるうちのひとつに、防火性能の高さがあります。
これまで木造家屋が多かった日本では、震災や戦災で大きな被害をもたらすことが多く、1950年に法律で外壁を防火仕様にすることが求められました。

そこで登場したのがモルタル壁です。
セメントや砂を原材料としているため燃えにくく、一定の厚さに達すると防火構造や耐火構造となることが認められています。

モルタルは不燃材料として定められている

建築基準法で不燃材料となるものには一定の条件が定められており、それをクリアしなければ不燃材料としては認められません。
クリアする基準は、下記2点です。

  • 防火材料であること
  • 一定の時間を防火材料としての基準を保つことができること

モルタルの場合は、最も高い性能である「不燃材料」として認められています。

防火材料とは、

  • 燃えない材料であること
  • 防火の観点から変形や溶接、き裂のような損傷を生じないこと
  • 避難上、有害な煙やガスが発生しないこと

があり、不燃材料と認められるには、これらの基準を一定の時間保ち続けることが必要となります。

防火構造の仕様・構造

不燃材料であるモルタルを壁材として使用すると、建物自体が準耐火構造や防火構造として認定されます。
ただし、下記表のようにそれぞれの工法で一定の厚さを満たすことが条件です。

【防火構造】
外壁 左官仕上 ラスモルタル塗り 塗り厚20mm以上
木摺りの上しっくい塗り 塗り厚20mm以上
木毛セメント板張りの上モルタル塗り 厚さの合計15mm以上
石膏ボードの上モルタル塗り 厚さの合計15mm以上
土塗り壁(下見板を張ったものを含む) 塗り厚さが20mm以上
セメント板張の上モルタル塗り 厚さの合計25mm以上
タイル仕上 モルタルの上タイル張り 厚さの合計25mm以上
【準耐火建築物】
外壁 左官仕上 木毛セメント板又は石膏ボードの上に厚さ15mm以上のモルタル塗り又はしっくい塗り
タイル仕上 モルタルの上タイル張りでその合計の厚さが25mm以上
左官仕上 厚さ7mm以上の石膏ラスボードの上に厚み8mm以上の石膏プラスター塗り
塗り厚さ20mm以上のラスモルタル塗り 又はしっくい塗り
木毛セメント板張り 又は石膏ボード張りの上に、厚さ15mm以上のモルタル又はしっくい塗り
タイル仕上 モルタル塗りの上タイル張り(厚さの合計25mm以上)
その他 木毛セメント板の上にモルタル 又はしっくいを塗り、その上に金属板を張ったもの

準耐火建築物は火災保険料が安くなる

準耐火建築物として認定されると、火災保険料が安くなります。
これは構造級別という火災保険の料率を決める基準に合致するためです。

モルタル塗りのメリット・デメリット

1950年以降に広まり、現在は減少傾向にあるモルタル塗り。
そのメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。

メリット

  • 自由度が高く、デザイン性の高い設計にも対応できる
  • サイディングでは難しい曲面などの壁でも施工できる
  • シーリング材などによる継目がなく見栄えがよい
  • 火に強く防火性能が高い
  • 熱を蓄えにくく表面が熱くなりにくい
  • 不燃性で有毒ガスが発生しない

メリット面ではデザイン性の高さと、防火性の高さが目立ちます。
とくに有毒ガスが発生しないことは、火災で避難するときの安全性を高めます。

デメリット

  • 工程が多く乾燥に時間がかかるため工期が長い
  • 一般的なサイディングに比べてコストが高い
  • 乾燥に伴い収縮するためヒビ割れが起こりやすい
  • 職人の技術力の差が現れやすく品質にムラがでる
  • 吸水性が高いためモルタル塗り壁だけでは防水性が低い

デメリット面においてはコストがかかることや、防水性が低いことがあげられます。
塗装で塗膜を作ることで防水性を高めることができますが、乾燥すると収縮しひび割れが発生しやすくなるため定期的なメンテナンスが必要です。

モルタル外壁の種類について

モルタルの外壁は仕上げ方法でその見た目と特性が大きく変わります。
ここではその種類と特徴を紹介します。

吹き付けタイル壁

吹付タイルは表面がツルツルとしたなめらかな触り心地が特徴です。
高耐久性シリコン系・フッ素系などのトップコートを使うため、多少の汚れであれば拭き取ることができます。
またひび割れが発生しにくく、耐久性が高いことがポイントです。

スタッコ壁

スタッコは、高級感と重厚感がある壁面にピッタリで、高級マンションのエントランスなどでもよく使われています。
高級感がある一方で、ゴツゴツとしていて汚れが付きやすいデメリットもあります。
塗料が大量に必要で施工に時間がかかる仕上げ方法です。

リシン壁

リシン壁は上記のスタッコ壁の薄くなったものと想像しもらっていいでしょう。
スタッコ壁に比べて表面が砂の様にザラザラしているのが特徴です。
コストが安く、かつてはモルタルの代表的な仕上げ方法でしたが、ひび割れが生じやすく汚れやすいことから現在施工は減っています。

火に強くデザイン性の高い壁ならモルタルがおすすめ

いかがでしたでしょうか。
現在では少なくなりつつあるモルタル塗りの壁ですが、曲線やデザイン性を重視した設計では現在も広く使われています。
また耐火性能は高く、有害物質が発生しないことから安全性に配慮した家づくりにも向いているといえますね。

ただしその一方で、定期的なメンテナンスをしないとひび割れや塗料の剥がれなどの原因にもなりかねません。
したがってメンテナンスも含めた充分な検討が必要です。

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