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省令準耐火構造と準耐火構造の違いとは?

2019.11.21

はじめに

火災保険の契約時など、構造級別を判定する際によく目にするのが、「省令準耐火」や「準耐火」です。この2つは似たものだと思われている人も多いようですが、実はまったくの別物だということをご存知でしょうか。

今回はそんな2つの耐火構造の違いを建築的な視点と火災保険の視点から解説していきます。
住まいの中で持つそれぞれの特性と、火災保険の保険料の違いがあるかなどわかりやすくまとめました。
ぜひ、最後までお付き合いください。

省令準耐火と準耐火の構造的な違い

省令準耐火構造と準耐火構造の違いを見ていく前に、建築基準法で定められた建物の耐火構造にはどのようなものがあるのかを見ていくと、かなり理解しやすくなります。

建物の耐火性や防火性には主に「耐火構造・準耐火構造・防火構造」という3つのグレードがあります。
この中で省令準耐火構造に近いものが防火構造です。
では防火構造とはどんなものなのでしょうか?それぞれの構造を詳しく見ていきましょう。

耐火構造

鉄筋コンクリート造やレンガ造りなどの耐火性にもっとも優れた構造の建築物を耐火構造と言います。
国土交通大臣が定めた規定(建築基準法)に適合しているもの、または認定を受けていることが条件となり、火災になっても1時間以上の耐久性があるものが耐火構造として認められます。

この構造で重要なポイントは「火災が終了するまでの間、建築物が倒壊することや延焼を防止するための耐火性能がある」という点です。
簡単にいうと、火事になっても倒れないことが条件ということですね。

準耐火構造

国土交通大臣が建築基準法で定めた構造であることと、火災後45分以上の耐久性があることが条件です。
耐火構造の条件では倒れないことも入っていましたが、準耐火の場合は、「延焼を抑制する」ということが条件となります。

防火構造

最後の防火構造は、火事が燃え移らないようにしてある構造であるかどうかがポイントになります。
要は隣が火事になっても、もらい火をしないような構造になっているかです。

もらい火をしない構造とは、軒裏や外壁などが鉄鋼モルタル塗りや漆喰塗などの燃えにくい材料で造られていて30分は燃えない防火性能があることが条件となります。
国土交通省が定めた構造方法(建築基準法)で防火構造試験の認定を受ける必要があります。

省令準耐火構造

省令準耐火構造と上記の耐火・準耐火・防火構造の決定的な違い。それは、建築基準法に定めたものではないという点がまず大きな違いです。

省令準耐火構造は、「住宅金融支援機構」の定めた基準に適合した構造であり、加えて準耐火構造に準ずる防火性能をもつ構造であるとされています。

したがって名称に「耐火」と付くものの、省令準耐火構造は防火構造に近い構造です。防火構造が外の火事が燃え移らない構造になっているのと同じように、その構造が各部屋に設置されているのが省令準耐火構造となります。

つまり、ひとつの部屋から出火しても、他室に燃え移らないような構造を持っていて、他室への延焼を防ぐというのが省令準耐火構造です。

火災保険における構造級別の違い

では、耐火構造や準耐火・省令準耐火構造はそれぞれ火災保険の構造級別ではどのような構造に該当するのでしょうか。

耐火建築物

3つのうちで最も高い耐火性能をもつ耐火建築物は、火災保険の構造級別でもトップのM構造、T構造に該当します。

M構造は主にマンションでT構造は主に戸建ての耐火性能の高い構造が割り当てられるグレードです。
耐火性能が高い建築物であるため、保険料も他と比べて割安となります。

準耐火建築物

耐火性能としては3つのうち、2番目となる準耐火建築物ですが、火災保険の構造級別でも2番目に高いT構造に該当します。
構造級別ではH構造がもっともグレードの低い構造となり、火災保険料も割高になるため、それに比べると保険料が割安です。

省令準耐火建築物

最後に耐火建築物の中では3番目となる省令準耐火です。
じつはこれも火災保険の構造級別の中ではT構造という2番目に高いグレードの構造級別に位置します。

つまり、耐火構造であっても準耐火・省令準耐火であっても、火災保険の構造級別ではすべてT構造となります。
M構造はマンションなどの共同住宅であることが条件となるため、戸建てであれば最高ランクの構造級別になるというわけです。

ツーバイフォーやプレハブ工法は省令準耐火

省令準耐火構造は工法によって条件を満たすものがあります。
その主な工法は次の通りです。

  • 枠組壁工法(2×4工法)建物
  • 木質系プレハブ建物
  • 木造軸組工法建物

上記以外にも住宅金融支援機構の定める基準に適合しているものや、承認を得たものが省令準耐火建物となります。

省令準耐火構造・準耐火構造は火災保険料が安くなる

上の項目でも少し述べましたが、省令準耐火構造と準耐火構造は、火災保険の構造級別上では同じT構造となります。
同じ木造であっても耐火性能のない木造住宅はH構造で保険料も高くなるのにくらべT構造は保険料が安くなるのが特徴です。

構造級別 建物の種類(材質) 保険料
M構造 コンクリート造建物
コンクリートブロック造建物
れんが造建物
石造建物
耐火建築物の共同住宅建物
安い↑↓高い
T構造 コンクリート造建物
コンクリートブロック造建物
れんが造建物
石造建物
鉄骨造建物
耐火建築物(共同住宅建物以外)
準耐火建築物
省令準耐火建物
H構造 M構造、T構造に該当しない建物

構造級別ではM構造が一番保険料の安い構造級別となりますが、主に共同住宅と呼ばれるマンションなどが対象です。その中に入るのは耐火建築物のみとなります。

M構造に次いで保険料が安い構造級別がT構造となり、その中に準耐火建築物、省令準耐火建築物が入っています。

以前は別々の構造級別だった

現在は3段階となっている構造級別ですべての耐火建築物がT構造に含まれる形になっているため、保険料の差もなくなりました。

しかし、2010年以前は4段階の構造級別で省令準耐火と準耐火建築物の級別も違い、保険料にも差があったのです。
下記は改定以前の構造級別です。

■省令準耐火構造 ■準耐火構造
構造級別判定 C構造あるいは3級 B構造あるいは2級
基本料率 B構造あるいは2級 B構造あるいは2級
地震保険料率 ロ構造の料率 イ構造の料率
確認書類 必要 不要

地震保険も同じ料率

この改定後、地震保険においても省令準耐火構造は非木造である「イ構造」に変わりました。
省令準耐火構造の人で地震保険に加入している人は、2010年以降の継続時に保険料が安くなったはずです。

長期契約の際の料率は改定前のまま

新築で家を購入する場合は30年程度のローンを組んで購入する人がほとんどです。
住宅ローンを組む際に火災保険の加入保険料も支払うのが一般的ですが、この場合は料率が変更となることがありません。

ただし最大5年間の更新契約となる地震保険の場合は、継続手続きの際に新しい料率で計算がし直されます。

耐火構造を正しく理解して火災保険加入に役立てよう

耐火構造には主に3つの種類があること、構造級別では同じ級別となり保険料が変わらないことなど、省令準耐火と準耐火は似ている部分もありますが、構造的にはまったく別のものだということがおわかりいただけたでしょうか?

また省令準耐火の場合には金融支援機構の定める工法によって、省令準耐火となりT構造となる場合があります。
とくにツーバイフォーの場合には省令準耐火となる可能性がとても高いため、一度確認してみることをおすすめします。

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