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鉄骨造りに耐火被覆は必要?火災保険が安くなる理由とは

2019.11.21

はじめに

建物の建築方法には、木造や鉄筋コンクリートなどさまざまな種類があります。その中でも戸建てから高層ビルまで使用されることの多い工法が鉄骨造。
しかし、意外にも鉄骨造は「熱に弱い」という欠点があるのをご存知でしょうか。

熱に弱い鉄骨造は、火災が起きたときに倒壊する恐れがあるなど、そのままでは大きな危険性を伴います。
そこで、そのリスクをカバーするのが、今回ご紹介する耐火被覆(たいかひふく)という工法です。

この記事では、耐火被覆の必要性や工法、建築基準法で定められた基準に至るまでを解説していきます。
これから戸建てやビルを建てるという人や、リフォームを検討している人にはとくにおすすめの内容となりますので、是非ご一読ください。

鉄骨造は火災や地震にも強い?

耐火被覆のことについて解説する前に欠かせないのが、鉄骨造建物の特徴についてです。

鉄骨という材質の特性を理解することで、なぜ耐火被覆が必要となるのかがわかりやすくなりますので、ここでは鉄骨造の特徴を耐火性や耐震性にポイントをしぼって簡単に説明しておきます。

鉄骨造りのメリット

鉄骨造りのメリットは

  • 圧力に強く頑丈
  • 地震に強く倒壊することが少ない

という2点が安全性の観点からすると大きなメリットとなります。

柱や梁を鉄骨で組み立てていくため、強度が高く頑丈なことが特徴です。
また、地震の揺れにも耐えることができるうえ、鉄のしなやかさが揺れを吸収する役割も持ちます。
揺れはあっても倒壊することが少ない耐震性も鉄骨のメリットです。

鉄骨造りのデメリット

鉄骨造りのデメリットは意外にも「熱に弱い」ことです。

木造とくらべて耐火性が高いと思われがちな鉄骨造ですが、鉄骨は温度が300度~500度に達するとその強度が半減してしまいます。
火災で燃え続けた建物の温度は900度~1,000度以上。強度を保てなくなった鉄骨はグニャっと曲がってしまうほど柔らかくなるため、倒壊してしまう危険性があります。

「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」

鉄骨造には重量鉄骨と軽量鉄骨という2つの種類があります。
その違いは主に鋼材の厚みで分けられています。それぞれの特徴を一覧にまとめました。

【重量鉄骨と軽量鉄骨の主な違い】
重量鉄骨 軽量鉄骨
・鋼材の厚さが6mm以上
・高層ビルなどで多く使われている
・柱と梁で充分な強度と耐震性を得ることができる
・自由な設計が可能なためデザイン性の高い設計ができる
・軽量鉄骨とくらべて高価
・鋼材の厚さが6mm以下
・戸建てやアパートなどで多く使われている
・柱と梁だけでは十分な強度がないため壁などで補強が必要
・自由な設計に不向き
・重量鉄骨とくらべて安価

重量鉄骨は高層ビルやマンションなどでよく使われることからも、強度が高く安全性も備えていることがわかります。

また柱や梁といった構造のみでも充分な強度があるため、壁を取り除いた空間設計ができることも特徴的です。
一方で軽量鉄骨は、柱や梁という構造のみでは強度が不十分なため、壁にも補強材を入れて強度を保たなければいけません。そのため設計上の自由度は低めです。

鉄骨造に耐火被覆が必要な理由

上記で述べた鉄骨のメリット・デメリットの部分で、「強度はあるけど熱に弱い」ということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
このままでは万が一火事になってしまった場合、倒壊する可能性が高くて危険な建物のままということになってしまいますよね。

しかし、重量鉄骨造であれば一般住宅だけでなく高層ビルなどにも使われる工法です。
倒壊するとなるとその被害は被災した建物だけにとどまらず、周辺の建物や人にまで被害が及ぶことも想定されます。
そこで、鉄骨造の弱点を補うために生まれた工法が「耐火被覆(たいかひふく)」です。

耐火被覆は鉄骨を熱から守る

耐火被覆とは、鉄骨部分を燃えにくい材質のもので覆って鉄骨に熱が伝わるのを阻止する工法のことです。これにより熱に弱い鉄骨のデメリット補完し倒壊するリスクを防ぐことができるのです。

耐火被覆は法律で決められている

建物を建築するときには建築基準法という法律に従う必要があります。
その中で、映画館や病院といった特殊建築物と呼ばれる建物や、防火地域・準防火地域に指定されている地域の建物は、条件をもとに耐火構造または準耐火構造でなければならないと規定されているのです。

法律で定められた耐火構造や準耐火構造の条件を満たすためには、鉄骨造の建物は耐火被覆をすることが必須となります。
ちなみに、防火地域と準防火地域では、建物の階数や面積の基準が下記のように定められています。

防火地域 準防火地域
・住宅を建てる場合、延べ床面積が100㎡を超える建物は「耐火建築物」にしなければいけない
・延べ床面積100㎡以下の建物についても、1、2階は耐火建築物または「準耐火建築物」、3階以上は耐火建築物にする
・4階建て以上、もしくは延べ床面積が1500㎡を超える建物は、耐火建築物にしなければいけない
・3階建て以上、あるいは延べ床面積500~1500㎡の建物は、「準耐火建築物」か、それに準じた建物にする

鉄骨造以外なら耐火被覆は不要?

熱に弱いとされる鉄骨の場合、耐火構造にするためには耐火被覆が必要となりますが、鉄筋コンクリート造やれんが造の建物など、もともと耐火性の高い構造では耐火被覆は必要ありません。

一方で木造は火に弱いため、耐火構造とする場合には石膏ボードで木材の周りを覆う耐火被覆が必要となる場合があります。

鉄骨造を耐火被覆にするための工法は4種類

耐火被覆を施す際に基本的に材料として使うものは、燃えにくいセメント系の材料です。しかし耐火被覆といってもその工法は主に4種類あります。
ここでは、それぞれの工法と特徴を解説していきます。

吹き付けロックウール

出典:http://www.kojimakenko.co.jp/technology/fireproof.html

耐火被覆で最もポピュラーな工法のひとつです。使用される材料はロックウールという鉱物を原料として製造される人口繊維で、とても高い耐火性能をもちます。

このロックウールにセメントを混ぜ合わせ、柱や梁に直接吹き付けて固定していく工法が吹き付けロックウールと呼ばれるものです。
コストも安く時間的にも短時間で仕上げることができます。

巻付け工法

出典:https://www.nichias.co.jp/products/product/housing/building/covering01.html

柱や梁にシート状になったロックウールを巻き付けていく工法のことです。この工法の耐火被覆にはマキベエという商品がよく使われており、施工方法はピンで留めるだけというシンプルなもの。

しかし、軽量で施工時に粉塵がほとんどないことから現場が清潔に保つことができ、養生も最低限で済むため工期を短縮できることが特徴です。

成形板張り工法

出典:https://www.jic-bestork.co.jp/modules/smartsection/item.php?itemid=17

耐火性の高い、けい酸カルシウムを材料として使用した板で柱や梁の周りを覆う工法です。
吹き付けや巻きつけにくらべて、表面がフラットで硬いためそのまま仕上げ下地用としても使えます。
板状で形状に合わせた加工も容易で、ペイントやクロス張りができることが特徴です。

耐火塗料工法

出典:https://fai.sk-kaken.co.jp/tighca_coat

耐火塗料を鉄骨に直接塗りつける工法です。薄い皮膜でありながら1時間以上の耐火性能をもち、色で塗り分けなどもできるため、人目に付きやすいエントランスなどの施工に向いています。塗りのためメンテナンスがしやすいことも特徴的です。

鉄骨造&耐火被覆は体に悪い?

1955年ごろから1960年代の高度成長期にかけて、耐火被覆材として主に使われていたのが「アスベスト」という材料です。
アスベストは人の髪の毛の直径よりも細く、吸い込んでしまうと肺の中に溜まり、発がん性もある物質であることが後にわかりました。

そのため現在では使用禁止とされており、それに変わってロックウールが使われています。ロックウールは肺に到達するほど細かくはないため、人体への影響もないとされています。

耐火被覆をすると火災保険が安くなる?

火災保険では、建物の構造が保険料を決める大きな要因のひとつとなります。
簡単に説明すると燃えにくい建物であるほど保険料は安く、逆に燃えやすい建物であれば保険料が高くなる仕組みです。

耐火被覆をした鉄骨造は、建築基準法では耐火性能が高いとされる耐火構造となりますので、燃えにくい建物であると認定されます。
したがって火災保険料も安い保険料で済むのです。
火災保険では構造ごとに階級が決まっており、それを構造級別と呼びます。その内訳は以下の表の通りです。

住宅物件 M構造 コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火建築物の共同住宅建物
T構造 コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、鉄骨造建物、耐火建築物(共同住宅建物以外)、準耐火建築物、省令準耐火建物
H構造 M構造、T構造に該当しない建物
一般物件 1級 コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造、耐火建築物
2級 鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物
3級 1級、2級に該当しない建物

鉄骨造は耐火被覆で火災に強くなる

ここまで、鉄骨造の耐火被覆についてまとめました。

鉄骨造は意外にも熱に弱いという欠点がある材質のため、それを補うためにも耐火被覆が必要になります。
また、耐火被覆にはさまざまな工法があるので、使用する規模や予算、場所によって最適な工法を選びましょう。

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